こんにちは。海外の技術サポート業務を15年以上続けているSHOです。
テクノロジーの進化は目まぐるしく、特にAIの発展は多くの職業に影響を与えています。しかし、その中でも「英語が使えるエンジニア」が依然として重宝される理由について考えてみたいと思います。
はっきり言って、これからも「英語が使えるエンジニア」が駆逐されることはありません。以下の観点で技術英語の勉強を続ければ、安定した収入を得ることができる人材になるのは間違いありません。
はじめに、AIではできないことを考えてみる
AIが進化し、業務効率化や自動化が進む中で、私たち人間は何をすべきなのでしょうか?特に、製造業や技術職の現場で働く人にとっては、「AIに仕事を奪われるのでは」と不安になる場面もあるかもしれません。
しかし、AIが得意とすることと人間にしかできないことは明確に異なります。この記事では、AI時代における人間の役割を説明し、さらに英語を話せることがもたらすメリットについて触れたいと思います。
先に結論を言っておきますが、AI時代で生き残るために英語ができることはめちゃくちゃ強みです。先のことを気にせずにガンガン勉強して問題ありません!
総合的に判断するのは人間である
まずはじめに理解していただきたいのが、目的と判断を担う AIは非常に優れた情報処理能力を持っていますが、「何のためにやるのか」といった目的設定や、状況に応じた判断は苦手です。
たとえば、AIが試作品の設計案を出しても、「どの案が製品化に適しているか」「コストや安全性をどう優先するか」といった最終判断は人間が行います。
つまり、人間はAIに任せる”仕事”を選び、成果の方向性を決めるリーダー的な役割を果たす必要があります。
マニュアル通りでは上手く行かないのが製造業
現場と文脈を理解する 製造業の現場では、マニュアル通りにいかないことが多々あります。たとえば、「組み立て方にコツがいる」「装置が冬場にトラブルになりやすい」といった情報は、マニュアルやデータには現れにくく、長年の現場経験によって蓄積された暗黙知であります。
AIはこうした微妙な現場のニュアンスや状況の変化にはまだまだ対応しきれませんし、AIに任せるのであれば、このようなデータをAIにインプットする必要がありますが非常に困難です。これがAI時代でも職人が生き残れる理由です。
人間が現場を把握し、AIの出した提案が現実に即しているかを判断する必要があるため。現場には人が必要となるのです。
製造業も人間同士の信頼関係が必要
人との関係を築く AIには人間同士の信頼関係や感情のやり取りができません。取引先との交渉、社内の合意形成、部下の育成など、人間関係をベースとした業務は依然として人間の役割です。
特に日本の製造業では、現場の信頼関係やチームワークが製品品質に直結することも多く、AIには代替できない重要な領域です。
実際の現場で翻訳機は使えない
英語ができない人に限って、下のような考えを持っています。
こういう方は実際に海外の現場で働いた経験がないのでしょう。もしあったとしても、付き添いで英語ができる人がついてくれたか、充実した仕事は出来ていないでしょう。
下に記載したのは、海外の現場では翻訳機が不向きな一例です。他にもたくさん出てきますが、翻訳機では海外の仕事は務まりません。
1. 翻訳機を使用したコミュニケーションは現場で不向き
私が海外メンバーとやり取りをする中で、最もAIに駆逐されることがないと思う点は、現場での技術的な会話です。具体的には以下のような環境です:
- ノイズが大きい作業環境
- 機械を観察しながらのコミュニケーション
- 電源を借りられない現場
- ネットワークセキュリティの問題で通信ができない状況
上記のような条件下では、スマホなどを用いたコミュニケーションは非常にストレスが溜まります。実際に翻訳機を使っている人も稀に見かけますが、コミュニケーションがスムーズに進まないため、正直言って見ていられません。また、現地のメンバーのフラストレーションも溜まる一方です。
2. プライバシーの問題
翻訳機に頼ると、内緒話ができなくなります。社内独自の技術など、外部に公開できない情報は非常に多く存在します。相手側も翻訳機を介して技術情報を話したくない場合も少なくありません。特に購入した製品に関するビジネスを行っているケースでは、独自の情報をネットに漏らすことを嫌がる顧客が多いのが現状です。
3. 仕事終わりの会食でも翻訳機?
最後に少しおまけです。海外出張では、現地メンバーとの会食がよくありますが、そこで翻訳機で会話するのでしょうか(笑)? 飲み会で翻訳機を使って会話するのは、楽しくないですよね。楽しい会食にするためにも、ある程度の英語力は非常に重要です。
最後に
AIの進化が進む中でも、英語を使えるエンジニアの価値は高まっています。海外の現場でAIの翻訳ツールをストレスなく使用できる未来が来るのかは疑問です。「英語は翻訳機でなんとかなる」と言う人は、海外で実際に仕事をしたことがない人かもしれません。自分だけでなく、相手も翻訳ツールを使ってくれなければなりませんから。
これから技術英語の力を磨くことは全く遅くありません。エンジニアリングの世界はとても広いのです。
英語なんて翻訳機使えばなんとかなるっしょ〜