英語で「押す」を表す動詞は複数ありますが、技術的な仕事をしているのであればdepress と push は正しく使い分けできるようにしておく必要があります。
使われる場面を例文を交えて説明します。
depress の特徴
depress は主にマニュアルや技術文書などの技術的な場面で使われます。
特に、機械や装置のボタン、スイッチ、ペダルなどの操作を指す場合にdepressが多く用いられます。
depressは「下」に押すのイメージがありますが、作動のための押す行為全般を指します。
マニュアルや公式な手順書などで頻出し、操作の正確性を強調することができます。
Depress the brake pedal before starting the engine.
エンジンを始動する前にブレーキペダルを踏み込んでください
Depress the emergency stop button immediately if an abnormal operation.
異常動作が起きたら、非常停止ボタンをすぐに押してください
push の特徴
push「押す」日常会話で多用され、動作を直感的に伝えたい場合に適しています。
対象物を前、下、横などあらゆる方向へ物理的に押す行為全般に使われます。例えば下に押すならpush down、前に押すならpush forwardです。
Push the door to open it.
ドアを押して開けてください)
Push the button to turn on the light.
ボタンを押してライトを点けてください
上に書いた通りですが、技術文書やマニュアルなどにpushを使うのはあまり好ましくありません。depressを使用するべきです。
使い分けのポイント
技術文書はできるだけ動詞句*ではなく単一動詞*を使うべきという基本があります。
*動詞句:1つの動詞とその後に続く前置詞や副詞などが組み合わり動詞のように機能する表現
*単一動詞:文中で単独で用いられる。目的語を一つだけしか取らない。
例えば、「異常動作があれば緊急停止ボタンを押してください」という表現をマニュアルで書く場合、
○Depress the emergency stop button immediately if an abnormal operation.
×Push down the emergency stop button immediately if an abnormal operation.
となります。depressを使えば1単語で良いので、明瞭な文章になります。
×と記載した文章は会話ではもちろん使って問題ありませんが、マニュアルなどの文章ではやめた方が良いです。
最後に
日常会話やわかりやすい説明 ではpushを使用するのが良いでしょう。
depressは装置などの操作に特化して、マニュアルなどに使われる単語です。
ちなみにpushには様々な熟語があります。10個挙げてみました。皆さんは全部理解できてますかね??下に載せたので覚えてくださいね。今回は以上となります。それでは。
(おまけ)push の前置詞・句動詞 10選
- push ahead – 困難にもかかわらず前進する、進める
- push forward – 物理的または比喩的に前へ進める
- push through – (計画や法案などを)押し通す、やり遂げる
- push back – 押し戻す、延期する、反発する
- push for – 〜を強く要求する
- push into – 人を〜するように仕向ける
- push on – (疲れていても)前進する、続ける
- push out – 押し出す、追い出す
- push over – 押し倒す
- push up – 押し上げる、増加させる